ビリー・ホリデイを聴く  "LADY DAY"   "A PORTRAIT OF LADY DAY" Billie Holiday

 *ビリー・ホリデイ  "LADY DAY"   "A PORTRAIT OF LADY DAY" Billie Holiday

珈琲の苦味かぐはし寅彦忌  牧野蓼々

 コーヒーの にがみかぐわし とらひこき

 

この句をくちずさむと、なぜか急に珈琲が飲みたくなります。それで、昼食をつくりながら、珈琲を入れます。

 

窓の外の四季折々の自然の景色を眺めながら、昼食をし珈琲を飲みながら、ビリー・ホリデイを聴きます。至福の時です。

 

 コーヒーを飲みながら、気楽に楽しんでいるビリー・ホリデイのアルバムがあります。それが、 "LADY DAY"(16曲入)または   "A PORTRAIT OF LADY DAY"(48曲入) です。

 

 それぞれの曲の鑑賞は、「ビリー・ホリデイ ”A POATRAIT OF LADY DAY”-鑑賞ノート-」のページに書いておきました。ご参照ください。

 

 "LADY DAY"(16曲入)

 

 "A PORTRAIT OF LADY DAY"(48曲入)

 

これらのアルバムは、ビリーがテディ・ウィルソンのレコーディング・コンボに加わって歌っていた頃のアルバムです。

 

このアルバムでは、ビリーの歌とともにスイング時代の名手達のキラ星の如きソロを存分に楽しむことができます。

 

中でもわたしの一番好きなのは、レスター・ヤングで、ビリーとレスターの共演はジャズ史上最高のコラボレーションのひとつであると言われています。

 

 

BGMを聴くように気楽に楽しみながら聴くといいましたが、じっくりしっかり聴いても十分に楽しめる内容を持ったアルバムです。ビリーの歌に加えて、キラ星の名手たちのソロがすごい。十分に楽しみ味わえます。

 

その点、飽きのこないアルバムになっています。名手達のすごいソロの連続で、思わず「うーむっ」と唸ってしまいます。この点、「奇妙な果実」より飽きが来ないかもしれません。


 何しろ、テディ・ウィルソン、ベニー・グッドマン、そして、"Count Basie  The Original American Decca Recordings"の黄金時代のカウント・ベイシー楽団の名手たちが参加しているのですから。

 

※ "Count Basie  The Original American Decca Recordings"のCD写真は、このページの最後に掲載しておきました。これも大好きなCDです。歌の入った曲の歌手は、ジミー・ラッシング。

 

この時期のビリー・ホリデイの録音について、ライナー・ノートも書いている大和明氏の著書に中から、以下に一部引用します。

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 不世出のジャズ・シンガー、ビリー・ホリデイの初期の傑作選であると同時に、レスター・ヤングをはじめとするスイング黄金時代を飾る名手たちの綺羅星のごときソロ・プレイを堪能できる、スイング時代の代表的なレコーディングセッションを集めたものである。

 

 すなわちビリーは35年からテディ・ウイルソンのブランズウィック・レーベルにおける一連のレコーディングセッションの歌手として起用され、多くの人々に認められるようになったが、ここには当時の大物ジャズメンのほとんどが黒人、白人を問わず網羅されており、猛烈なスイング感とスタープレイヤー同士のスリリングなアドリブの応酬が繰り広げられていた。その多くに起用されたビリーはヴォーカリストというよりも器楽奏者と対等の立場に立ってワン・コーラスを担当し、このセッションに綿上花を添えたのである。

 

 かくして次第にその名を知られるようになったビリーは、36年から今度は彼女の名義で同趣向のレコーディング・セッションをテディの録音と並行してヴォカリオン/オーケー レーベルに吹き込むようになり、これらのセッションとともに、ビリーはジャズシンガーとしての実力を発揮し成長していったと言えよう。

 

 実際このセッションが始まった頃にはほとんど無名であったビリーが、それが終了した40年代初めには、ジャズ界最大のスター・シンガーとなっていた。この録音中に収録されている36曲のビリーの歌を鑑賞していくならば、一流の器楽奏者のアドリブに劣らないジャズ的センスに溢れた、内容豊かな見事なフレージングによって、その歌のオリジナルメロディーを超越していく冒険をやった初期の器楽的唱法時代から、歌詞内容の伝達を従来以上に重視し、表現力の深化を目指した全盛期に入っていった彼女の偉大な音楽的過程が浮かび上がってくるだろう.  (大和明「ジャズ」)

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この時期のビリー・ホリデイの録音には、「オール・アメリカン・リズム・セクション」と称賛された全盛期のベイシー楽団のリズム隊も参加していました。

 

 写真:"Count Basie  The Original American Decca Recordings"より

    Lester Young  Buck Clayton Herschel Evansなどの名が

*ビリー・ホリデイ  "LADY DAY"   "A PORTRAIT OF LADY DAY" Billie Holiday