ベルリン・フィルのコンサート・マスター 樫本大進氏のこと

*ベルリン・フィル  コンサート・マスター  樫本大進氏のこと

*ベルリン・フィル  コンサート・マスター  樫本大進氏のこと

現在、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサート・マスターを務めているのは、日本人ヴァイオリニストの樫本大進氏です。

樫本氏は、2019年のインタビューで、次のように述べています。国際文化会館「魂に響く音を世界に届けたい」の記事より)

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 音楽をやってる以上、単なる「仕事」という感覚ではやりたくないし、楽団の皆にもそう思ってほしくないんですよね。プロフェッショナルとしてきちんと仕事をこなすのは当たり前の話で、それを超えたところで「何のためにこれをやっているのか」ということを常に感じていてほしいんです。

 指揮者が登場していよいよコンサートが始まるという直前、最後に皆が「よし!」という気持ちになる時にコンマスを見ているからこそ、そこでの笑顔というのはとても重要だと思うんですね。だから毎回できるだけ笑顔で出ていくことは心掛けています。
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 1つのコンサートは、永劫の時間の流れの中で、ただ1度だけの音楽を今ここで奏で、生み出します。作品に向き合う謙虚さやナイーブな感性がなければ、人間を本当に感動させる音楽は生まれてこないでしょう。
 ルーティンワークというのはあり得ない。新鮮な感覚が命だと思います。それを失ったら、芸術にはならない。

 樫本氏の「笑顔」が伝播する。「笑顔」の波動が楽団員に伝わっていく。一人が変われば、全体が変わる。一部が動けばそれに伴い全体も動く。家族のだれか一人の動きが、家族全体を動かす。そして、その一人というのは自分のことだと。

 樫本氏のこれらの言葉(「笑顔」や、当たり前を「超えたところ」の何か)は、このベルリン・フィルという世界最高の演奏技術をもつ集団のコンマスの言葉であればこそ、なおさら説得力のある言葉であると思います。技術を超えた何かあるもの。何かあるものを支えるのは技術ですが、「何かあるもの」がなかったら、技術に残るのは空しさだけでしょう。


*樫本氏は、「音楽を架け橋に、人と人のきずなを大切にし、平和で幸せな世界を創りたい」という願いをもって、自身が音楽監督となり兵庫県赤穂市姫路市を舞台に室内楽の国際音楽祭「ル・ポン(Le Pont)」を開催しているそうです。

*ベルリン・フィル  コンサート・マスター  樫本大進氏のこと

*ベルリン・フィル  コンサート・マスター  樫本大進氏のこと