大野和士 指揮 都響 マーラー 交響曲第2番ハ短調「復活」 コンサート 

*指揮  大野和士 東京都交響楽団 ソプラノ:中村恵理 メゾソプラノ:藤村実穂子 合唱:新国立劇場合唱団 マーラー 交響曲第2番ハ短調「復活」 2023年3月15日  東京文化会館大ホール



3年ぶりにコンサートへ出かけました。(コロナ禍のためこの3年間外出を控えて、田舎で静かに生活を送っていましたので。)

会場は上野の東京文化会館。50年前の学生時代は、日本フィルや都響の定期会員だったので、懐かしいお馴染みのコンサートホールです。

開演前のこの日の夕方、時間があるので散歩していると、上野の桜が花開いて出迎えてくれました。(写真)



コロナ禍の前、この東京文化会館では、インバル指揮の都響でショスタコーヴィチを聴きました。4年後の今回は、マーラー、交響曲第2番ハ短調「復活」。

マーラーの交響曲は数種類のCDセットで、全曲を一通りは聴き終えていたのですが、もう一度じっくりと腰を据えて聴いてみようと決意して、現在、マーラーの交響曲全曲の鑑賞に取り組んでいるところです。

マーラーの交響曲にどっぷりと身を浸している最中ですから、このコンサートはちょうど良い機会となりました。



指揮  大野和士 東京都交響楽団
ソプラノ:中村恵理 メゾソプラノ:藤村実穂子
合唱:新国立劇場合唱団
東京文化会館大ホール  2023年3月15日
曲目:マーラー 交響曲第2番ハ短調「復活」



〈この演奏会〉迫力あり美しさありの、引き締まった躍動感溢れる演奏会でした。第1楽章の最初の力強い盛り上がり、その後の第2主題の美しいこと。3年以上生演奏から遠ざかっていたわたしにとっては、至福の時がいよいよやってきたという感動的な始まりでした。

マーラーのスケールの大きな、ダイナミックな迫力あるフレーズも好きですが、わたし的には、マーラーのこのような柔和な美しい表情のフレーズがより好みです。同じように、第4楽章、藤村実穂子さんの「原光(Urlicht)」の何と深く美しいこと。じっくりと聴き入り味わいました。

そして、クロプシュトックの詩を歌詞としたという最終楽章。

Aufersteh'n,ja aufersteh'n wirst du,
mein Herz,in einem Nut!
Was du geschlagen,zu Gott,
wird es dich tragen!

蘇る そう 蘇るだろう
わが心よ たちまちのうちに!
おまえがはばたいて打ち克ったものが
おまえを神のみもとに担うだろう

若きゲーテもヘルダーリンも多大な影響を受けた詩人クロプシュトック。コンサートの最後を飾るにふさわしい詩と、豊かにして壮大なる音楽。力強く感動的なこの終楽章の演奏をたっぷりと味わうことができました。CDやDVDで幾度となくこの曲の終楽章を鑑賞してきましたが、今回のは、特に感銘を受けました。一期に一会の貴重な出合いでした。

崇高な響きの中にゆったりと音楽はとじられ、しばしの沈黙の後は盛大な拍手。このあたたかな拍手は最後まで続きました。拍手をしながら、3年以上遠ざかっていた演奏会で、素晴らしい演奏に出合えた幸せを味わいました。やはり、一期に一会の生身の演奏です。田舎から久しぶりにコンサートを聴くために、東京へ出てきたかいがありました。このような出合いをいただいたことに、感謝。

*指揮  大野和士 東京都交響楽団 ソプラノ:中村恵理 メゾソプラノ:藤村実穂子 合唱:新国立劇場合唱団 マーラー 交響曲第2番ハ短調「復活」 2023年3月15日  東京文化会館大ホール