モーツァルト 弦楽四重奏曲 第16番 変ホ長調 KV428 楽曲構成 index(楽曲解説)+鑑賞 

*モーツァルト 弦楽四重奏曲 第16番 変ホ長調 KV428 楽曲構成 index(楽曲解説)+作品鑑賞

2023.6.7
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5月に足を骨折してしまい、その以来何もできず、足を動かさずに部屋で安静にしています。外にも出られないので、フィールド・ワークも俳句作りも草刈りもできずにいます。そういえばブログを更新していないことをふと思い出したので、更新だけはしておこうと、今日やっとPCに向かうことにしました。さいわい過去に書いておいた音楽記事があったので、少し手を加えて、それをUPすることにしました。7月には活動できるようになるといいのですが、もとに戻るまでには時間がかかるみたいです。
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 素直にきこえてくるもの 〈いろはno思いこみ鑑賞〉

 老境に入ったためか、やたらに、音が素直に心に響いてきます。クリアに心に入ってきます。五感が素直になったような気がします。鋭くなったという感覚ではなく、素直になった、そう、素直な感覚。老いの恵みのような。

 このところずっとマーラーの交響曲に浸りきっているためか、いつもマーラーが響いています。

 それで、解毒剤として、モーツァルトを聞くことにしました。

 ト短調シンフォニーを聞きました。40番の。すると、一瞬で全楽章が終わってしまいました。

 鳴っている音の意味をすべて聴き取ることができたように思えました。心がこの音楽と共鳴し、一体になっていました。こんな経験は初めて。で、ほんの一瞬のうちに全曲が終了してしまったのです。

 モーツァルトの音楽は、痕跡を残さない。散文作品ではなく、詩のようなもの。ある観念と馴れ合わない。鳴り響くためにだけあるような音楽。

 ロンドの中に疾風の如く消え去ってしまうような音楽。捉えようとすると、つかもうとする手を、すっとすり抜けてしまう。そして、聴く者の心に、何かあるものを残して消え去ってしまう。

 それは名づけることもできないもの、説明することもできないもの、思いはかることもできないもの。

 わたしにとってモーツァルトは、こんなふうにきこえてきます。ただただ新鮮に鳴り響いています。

モーツァルト 弦楽四重奏曲 第16番 変ホ長調 KV428 

第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ 変ホ長調、2分の2拍子、ソナタ形式。

 第1主題が異様な雰囲気のうちに始まり、さわやかに第1ヴァイオリンが、伸びやかな旋律を奏し、前進的に進んでいく。第2主題に入ると、第1ヴァイオリンによるやや沈んだ感じの美しい旋律が奏される。以上はもう一度繰り返される。
 展開部は、短いが力動的に前がかりに展開されていく。
 再現部で、再現される。

第2楽章 アンダンテ・コン・モート 変イ長調、8分の6拍子、ソナタ形式。

 第1主題は、チェロの分散和音に支えられ、他の三つの楽器の動きで進行する。最後第1ヴァイオリンに第2主題が属調で奏されしめくくられる。
 展開部では、引き続いて経過的ではあるが美しい展開を見せる。
 再現部で、再現し最後が美しくしめくくられる。

第3楽章 メヌエット:アレグレット - トリオ 変ホ長調、4分の3拍子。

 メヌエット主部。烈しく和弦で開始され、流れるような流暢な旋律へ、楽しい気分となる。
 トリオ。足速な哀しめのなだらかな旋律で歌われる。
 メヌエット主部に戻る。

第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ 変ホ長調、4分の2拍子、ロンド風ソナタ形式。

 軽快で民謡的な旋律、短調に傾く経過部をへて、第2主題へ。美しい旋律。パッセージ。
 再現部。経過的部分 やや激しく。
 コーダ。第1主題がコーダとして現れ、小気味よく全曲をしめくくる。

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*下記のIndex time付の楽曲構成表は、私所有のCDスメタナ四重奏団「W.A.モーツァルト:ハイドン四重奏曲集」(1982年録音)の資料をもとにして、所有のCDプレーヤーで調べ記録したIndex timeを加えて、自身で時系列に縦に組み直して作成したものです。
 手作業でメモし整理したものですので、Index timeには多少誤差等があるかもしれません。

*CDスメタナ四重奏団「W.A.モーツァルト:ハイドン四重奏曲集」(1982年録音)を購入される方、又はお持ちの方は、このIndexによって、各楽章の構成を把握しながらお聴きになることができます。