聴きました! 比企交響楽団 アンサンブル・スペシャル・コンサート

比企交響楽団 アンサンブル・スペシャル・コンサート -比企交響楽団公園20周年記念-

期日:2024年3月10日(日) 会場:東松山市民文化センター 指揮:久保田 洋
独奏:小山 清 バソン(越生町出身) 独奏:松本聖菜 ヴァイオリン(東松山市出身)


 当日配布のパンフレットによれば、この演奏会は「バソンのスーパーソリスト小山清氏を迎え、また東松山市出身の若手ヴァイオリニスト松本聖菜さん、そして管楽器の魅力を紹介したいと欲張った企画」であるそうです。

<曲目>
1.フンパーディンク:ヘンデルとグレーテルより「夕べの祈り」
2.久保田 洋 編曲:「春のうた」
3.リヒャルト・シュトラウス:13管楽器のためのセレナーデ
4.ヴィヴァルディ:四季より「冬・春」Vn独奏 松本聖菜
5.ヴィヴァルディ作曲 バソン(ファゴット)協奏曲第10番ハ長調
6.ドゥビエンヌ作曲 バソン(ファゴット)協奏曲

 演奏曲目は上記のとおりです。
 指揮の久保田 洋氏の編曲による管打楽器のための「春の歌」は、「どこかで春が」「春よ来い」「春が来た」「春の小川」のメドレーです。これらの春のうたを聴いていると、わたしの子どもの日の懐かしい春の風景が蘇ってきます。管打楽器の音色が、おだやかな春の風を会場に運んくるような演奏でした。13管楽器のためのセレナーデでも、豊かな管楽器の音色を堪能できました。

 松本聖菜さんは、野本小・南中卒業の東松山市出身のヴァイオリニストだそうです。ヴィヴァルディの独奏では、曲の進行とともに新鮮な溌剌とした演奏を楽しませていただきました。

 小山清氏は、東日本大震災で被災した陸前高田の松の木でバソンのボネを作成したそうです。その小山氏の願いのこもった貴重なボネを今日の演奏で使っていただけるそうで、期待が膨らみます。2曲のバソン協奏曲、小山清氏のバソンの音色が、会場全体をあたたかく包んでいました。

 特に初めて聴いたドゥビエンヌの曲が、好きになりました。バソン独特の繊細でふくよかな音色を初めて肌身に感ずることができ、貴重な体験となりました。小山氏の演奏と共にオーケストラの美しい響きも一緒に味わうことができ、素晴らしいひと時を過ごすことができましたことに、感謝。



 演奏会に足を運んでいつも思うのが、静寂の中から、いつの間にか生まれてくる「音」の不思議さです。いつ、だれが、このような美しい「音」を誕生させたのでしょうか。その「音」が音楽という翼を得て、ダイレクトに心に響いてきます。この不思議。

 演奏家と聴き手の心が、それぞれ独自にその音楽に心を通わせて、それぞれが独自に創り上げていく世界。その一期に一会のひとり一人の独自な世界が、今・ここに共存している。今、ここにだけ存在している響きの中に身を置くと、胸の中が熱くなってきます。