シューマン 歌曲集「リーダークライス」作品24 楽曲解説

*シューマン 歌曲集「リーダークライス」作品24 楽曲解説

*5月1日紹介のLPレコードの解説より

リーダークライス 作品24 楽曲解説

1.私が朝起きると

 シューマン独特ののれるようなリズムがデリケートなかな感情を表わす。

2.私はいらだって

 詩の抑揚と内容をまことに見事に表現している。フェルマータとリタルダンドによって、この曲は詩を重んじた近代の歌曲の道を示している。

3.木陰を歩くと

 ツムシュテーク以来のドイツ的ロマンツェの様式で作られている。第3節だけが違った形で作曲されているのは勿論詩の内容から来ている。

4.いとしい恋人、君の手を

 ト短調で、民論調を基調とする。

5.恋しみのゆりかごよ

 この曲集で、特に規模の大きなものである。AABACAというロンド風の構成を示すが、それが詩の微妙な変化を実によく表現している。

6.待て、荒々しい舟人よ

 伴奏はスタッカートを打ちつづけ、焦りと興礁を表わす。

7.山と城が水に映って

 ここまではこまかいことばの音による模写はさけて、有節形式に作曲されている。旋律の美しきが充分に発揮されている。

8.はじめは望みもなく

 こまかい技巧に走らず簡潔な表現に終始する。歌詞の最後が疑問形になっているので、音楽も属七の半終止で終わっている。

9.ミルテとばらをもって

 ミルテの白い香り高い花は、花嫁の花冠に使われ、乙女の純潔を象徴する。しかし糸杉は愛人の死を象徴する。内容の変化豊かな力作である。前奏の三連音の動機が全体を統一するが、特に中間部では気分は高まり、速度が早い。

*シューマン 歌曲集「リーダークライス」作品24 楽曲解説