*ブルックナー 鑑賞 始める!
8年程前、当時80歳の友人にして、大先輩でもあるKさんと雑談をしていた時、ブルックナーの音楽が話題になりました。老子のことやらを話していて、その後ブルックナーの話題になったように記憶しています。そして、Kさんにブルックナーを聴くように勧められました。
わたしは、ブルックナーの音楽には学生の頃に少し触れた記憶があるだけで、それ以来聴いていませんでした。ベームやクナッパーツブッシュのLPレコードを聴いてもっていました。
Kさんは若い頃、朝比奈隆さん指揮のブルックナーをライヴで聴いていたといいます。Kさんに勧められて、私もブルックナーを聴いてみようかとふと思い立ちました。
〈鑑賞1回目〉
私が最初に聴いたのは、借りてきた、朝比奈隆が大阪フィルを振ったCD。1番から9番まで順に聴いていきました。真冬の夕方1ヶ月かけて、全部聴き終えました。音楽の盛り上がりに迫力があり、たっぷりと音楽に浸りきった感はありました。
しかし、盛り上がりに達して、これで終わりになるのかなと思いきや、再び延々と音楽は続き、また盛り上がりがやって来ます。大波がゆっくりとやって来ては去り、またやって来ては去るという感じです。
普段モーツァルトやベートーヴェンを聴いている者にとっては、悠長な音楽の時間の流れに慣れるのが大変でした。
〈鑑賞2回目〉
それでも何か気がかりなものがあり、半年ほどしてから、自前でCDを少しずつ揃えてじっくり聴いてみました。ヴァント、ヨッフム、シューリッヒト、ブロムシュテット、インバルなど・・・。
前回の鑑賞から6ヶ月経過していたので、今回は、余裕を持って聴けるように思いました。
徐々にブルックナーの音楽の流れにも慣れ、曲が身体に染みとおってきた感じです。いつの間にかその音楽に懐かしさを覚えるようになっていました。そして、もう一回もう一回と、聴いてみたいと思うようになっていました。
聴くというよりその音楽に身を任せる。その音楽の流れのままに、身をまかせるという感じでしょうか。
自分に代わってブルックナーの音楽が呼吸する、それもかなり長い息づかいである、その長い息づかいに身を任せる、という感じでした。それは気持ちのよい充実した時の流れでした。
このようにして、次第にブルックナーの音楽の虜になってしまったようです。
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