スメタナ弦楽四重奏団 モーツァルト 弦楽四重奏曲

 モーツァルト 弦楽四重奏曲 15番 ニ短調 K.421/17番 変ロ長調 K.458
 スメタナ弦楽四重奏団

             
    今からおよそ50年程前に、このレコードの録音からデジタル録音が始まりました。
 録音は1972年。このレコードは、世界初のデジタル録音のレコードということになります。
 録音はデジタル録音ですが、メディアはLPレコードですから、出力はアナログということになるのでしょうか。このLPレコードを購入当時、音がそれまでのレコードより格段に鮮明聴こえてきたのを覚えています。(今から50年程前です)
 このレコードは、スメタナ弦楽四重奏団の演奏が素晴らしくて、録音のよさを越えて、価値ある演奏でありました。当時、耳を澄ませて毎晩聴いていたのを思い出します。

 吉田秀和氏は、1988年(このレコードの出た16年後)に、この録音のCD化されたもので聴いて、次のように書いていました。

「とはいえ、スメタナ弦楽四重奏団の演奏そのものは実演でよく知っていた。・・・・・その演奏を目の当たりにした時は、日本の多くのファンと同じように、心から驚嘆したのだった。・・・・・これは、アメリカのブダペスト四重奏団やジュリアード四重奏団の行き方とはずいぶん違うもので、ヨーロッパ流の落ち着いた、そうしてやや古風といってもいいような、やや渋いものではあったが、音楽の表面のきらきらしさ、はなやかさはなくとも、それだけ、じっくりときくものの心の深いところまで沁みこんでくるような、滋味豊かな演奏だった。」

「四つの楽器のバランスも -CDだから、実演の時と同じに考えるべきではないのかもしれないが- 、ものすごく良い。日本コロムビア自慢のPCM録音の最初期の一つだそうであるが、今きいても、音に何の不足もない。(レトロの多くの名盤は、この点で、時々、演奏はいいけれど、やっぱり音に不満が感じられることが少なくないのだけれど)。」

世界初のデジタル録音(1972年) スメタナ弦楽四重奏団/モーツァルト 弦楽四重奏曲