ビリー・ホリデイを聴く ”A POATRAIT OF LADY DAY” (”LADY DAY”) 鑑賞ノート

*ビリー・ホリデイ   ”A POATRAIT OF LADY DAY” (”LADY DAY”)-鑑賞ノート-

 ビリー・ホリデイの ”A POATRAIT OF LADY DAY”(「レディ・デイの肖像」)というアルバムの中では、下記の曲目がわたしのお気に入りです。

*CD ”LADY DAY”(1枚組)の方は、CD  ”A POATRAIT OF LADY DAY”(2枚組)より曲の数が少なくなっています。



〈いろはNo思いこみ鑑賞ノート〉

 THIS YEAR'S KISSES

 ピアノの後、Lester Youngのtsのシンプルなソロをじっくりと楽しめる。「くつろぎ」の極みの如き素晴らしいソロである。

★ この時ふと、何年か前に亡くなられたテナー・サックス奏者の尾田  悟さんのことを思い出した。亡くなられる前にジャズ・クラブで何回か尾田悟さんの演奏をライヴで聴いていた。その時の懐かしい「くつろぎ」の音をこのLester Youngの演奏を聴いていてふと思い出したのである。

 Lester Youngのtsの後、ビリーの歌が続き、Teddy Wilsonのpが素朴に美しく響く。最後まで、Lester Youngの「くつろぎ」の雰囲気が持続していたかのよう。

  I MUST HAVE THAT MAN

 Teddy Wilsonのpの後、すぐにビリーの歌が入り十分に楽しめる。その後、Lester Youngのtsのソロ。このくつろいだ感じが好きだ。その後の、 Benny Goodmanのclがまたよい。

  I'LL GET BY

 Lester Youngのtsに音か快く膨らんでいくような快さを感ずる。ビリーの歌声が何やらいじらしく聞こえてくる。

  MEAN TO ME

 Lester Youngのtsは川のさざ波のよう。Buck Claytonのtpもいい。Johnny Hodgesのas、ビリー、Teddy Wilsonのpと真珠の連なりの如き演奏である。

 PENNIES FROM HEAVEN

 Ben Websterのtsが柔らかくふくよかに歌う。ビリーの歌にBenny Goodmanのclが優しく寄り添う。

FOOLIN' MYSELF  

 CDの2枚目はこの曲から始まる。とても気持ちのよい出だしである。Lester Youngのts、優しさがあるスムーズなフレージング、よどみない河の流れように。次に、Teddy WilsonのpがLesterの流れを引き継いで美しいピアノタッチ。そして、Buck Claytonのtpからビリーのvoへと。ビリーの歌、女心の哀しさいじらしさ。And every time I pass・・・辺りになるとじんと来る。



 EASY LIVING

 Buster Baileyのclのソロが夢のよう。次のLester Youngのtsがゆったりと、しかものびのびとしていていい。Teddy Wilsonの粒立ちの美しいpを経て、ビリーの歌へ、Buck Claytonのオブリガード。

 A SAILBOAT IN THE MOONLIGHT

 ビリーの歌にLester Youngのtsが寄り添い二人で歌の世界を創っていく。。

 THE MAN I LOVE

 Harry Edisonのtpの後ビリーが、自身に語りかけるように歌っていく。Maybe I shall meet him Sunday Maybe Monday, maybe not・・・辺りはたまらない。ビリーの歌の後に、Lester Youngのtsが歌を受けてスムーズに入ってくる。厚みのあるtsで始まり、揺れ動く心を表すかのように波打つ。ビリーの歌になり、また、好きなフレーズの再現。

 BODY AND SOUL

 イントロRoy Eldridgeのtpがさわやかに寂しげに、ビリーのvoは訴えるようにひたむきさ、I can't believe it・・・以下いい。

 GEORGIA ON MY MIND

 ビリーの歌は、ゆっくりとじっくりと歌詞を大切に歌っているようで、歌に深みとある種の迫力が加わったような。途中Eddie heywood のpが美しい。 

 ALL OF ME

 割と軽快なテンポの曲だが、ビリーの歌はゆったりとした、深みと哀しみが伝わってくるような歌い方である。途中、Lester Youngのtsが突如入ってくるのが素晴らしい。好みによっては、ビリーの歌がもたついているという感じを持つ方もあるかもしれなが(わたしが最初そう思った)。

 SOLITUDE

 pの後に、ビリーが In my solitude ・・・と歌い出したとたん、この歌の世界が広がり展開していく、ゆったりと。途中、Eddie heywoodのpが氷の結晶のように美しく出てくる。

 LOVE ME OR LEAVE ME

 ビリーの高めの声が素敵。 Or let me be lonely / You won't believe me, I love vou only

 

 このアルバム"A PORTRAIT OF LADY DAY"にある曲の録音が、1935年~1942年であるから、ビリー・ホリデイの年齢は、20歳~27歳頃ということになる。
 20歳代ですでにこの表現力!! 驚くべき録音である。

 *ビリー・ホリデイ   ”A POATRAIT OF LADY DAY” (”LADY DAY”)-鑑賞ノート-