いろはの「それなりに俳句ライフ」・1 あなたも 私も詩人である!
「それなりに俳句ライフ」の初回は、わたしが短歌や俳句を始めるきっかけとなった出来事を振り返ってみます。
最初に、短歌を始めるきっかけになったのは、次の言葉でした。
橘守部(たちばな もりべ)の歌論 *
一 歌は必ず詠むべきものの事
一 歌は誰にも詠まるるものの事
一 歌は始めより憚(はばか)らず打ち出して詠むべき事
これらの言葉には、勇気づけられます。
◇ 「人はだれでも歌の種をもとから持っている」といいます。ですから、
一 人はだれでも歌を「必ず詠むべきもの」であり、
一 その歌というのは、だれもが詠むことができるものであり、あなたも私も例外ではないというのですから。
つまり、あなたも私も、生まれついての詩人である! と高らかに宣言しています。更に、
一 「始めより・憚(はばか)らず・打ち出して詠むべき」と続きます。
自分の下手な詩歌を他人に見せるのは恥ずかしいとか、もう少し上達してからなどと思ってはいけない。未熟であっても堂々と他人に打ち出して披露すべきだと。
詩歌は何も特別なものではないのだから。だれもが、その種を内に宿している、それを素直に打ち出せばよいのですよと。
小鳥だって、虫だって、カエルだって、生きとし生けるものはみんな歌を詠んでいるじゃないですか、って言ってます。
こう勧められると、「カエルもやっているのなら」、自分もやってみようかなって、思ってしまいます。わたしもそうでした。この歌論が短歌を始めるきっかけとなりました。
「始めより憚らず打ち出して詠むべき」が何より気に入りました。
また、この歌論の応用範囲は広いです。これは、最近始めたこのブログにも、何にでも当てはまります。何事も打ち出してやってみる! 前進あるのみ!
何か勇気がわいてきませんか。新しいことに挑戦してみたくなります。恥ずかしがることも、だれに憚ることもないのです。
「きみはきみのままがいいんだよ。他の在りようであることは誰も望んではいないのだ。きみの思いを聞かせてくれ。ぜひとも、きみの思いを素直に打ち出してほしい。人間であるなら、だれでも種はもうすでに内に持っているのだから。素直に出せばいいのです。」
守部さんが、こう語りかけているのです。勇気が湧いてきます。
注)
*橘守部『心の種』目次より(放送大学・和歌文学の世界・教授:島内裕子氏の講義より引用)
*『心の種』というタイトルは、古今和歌集の「仮名序」にある「やまと歌は、人の心を種として、よろずの言の葉とぞなれりける」にちなんでいます。「人は誰も心の中に歌の種をもとからもっている」というのです。
3月8日(水)
今日はあたたかな日で、「うぐいす」がぎこちない声で鳴いているのが、山から聞こえてきました。こんなに早く「うぐいす」の声を聞いたのは初めてです。5月の連休中のように暑い日でした。歩いていると、日陰が恋しくなります。