早春の野を散策していたら、オオイヌノフグリがもう咲いていました。
けなげなる、小さき姿のいとほしく、
菫程な小さき人に生れたし 夏目漱石
すみれほどな ちいさきひとに うまれたし
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かそけくも咽喉鳴る妹よ鳳仙花 富田木歩
かそけくも のどなるいもよ ほうせんか
死の近い妹の喉のかすかな喘ぎ。鳳仙花のはかない美しさを妹のそれに重ねて、このはかない命と共にある鳳仙花。
木歩のもっとも愛情をそそいだ薄命の妹。彼女は逝った。享年十八。木歩二十一歳。木歩とその弟妹の境遇を聞くと、涙なしにはよめない句。