シューベルト 歌曲「楽に寄す」 -いろはの音楽の部屋-


 この頃、たびたび日常生活の中に顔を出してくる音楽フレーズがあります。それは、「たしかシューベルトの歌曲だったな」

 そう「楽に寄す」。シューベルトの歌曲です。どうして、最近この歌曲のフレーズばかり頭に浮かんでくるのでしょう。最近は、暑くてクラシック音楽は聴いていません。聴いているのはジャズばかりなのに。

 Du holde Kunst, ich danke dir dafür!

 この最後のフレーズは、「こころやさしい音楽(芸術)よ わたしはあなたにそのことを感謝する」と。解説には「純粋な内面的感動にみち、シューベルトの書いた最も精神的な歌曲のひとつ」とありました。言葉にすると、概念的なこういう言葉にならざるを得ませんが、確かに繊細精美な音楽。

 わたし的には、「感謝」のフレーズとして、ふと心に蘇ってくる音楽なのだと思いました。思い当たる節があります。「音楽」に対する感謝とか、そういう限定されたものではなく、無限定の感謝、手放しの感謝。何かそういう感謝の気分になったとき、このフレーズが胸にふわっと響いてきて、わたしを優しく包み込んでしまうのです。この曲を聴いていて、シューベルトの繊細で純粋な心を想いました。

春の夜のわれにやさしくわれを融く  いろは

 下の動画の歌手は、シュヴァルツコップです。わたしが生まれた頃のモノラル録音です。シュヴァルツコップの歌とともに、エドウィン・フィッシャーのピアノ伴奏の素晴らしいこと!
 
シューベルトの歌曲集では、女声ではバーバラ・ボニーも好きです。

*下の動画「楽に寄す」には、原詩と訳が表示されます。