秋の夕暮はチャーリー・パーカーがいい Charlie Parker On Dial 鑑賞ノート

チャーリー・パーカー Charlie Parker On Dial


 秋の夕暮はチャーリー・パーカーがいい  いろはの思いこみ音楽鑑賞〉


 チャーリー・パーカーを久しぶりで聴いた。あの「Lover Man」など。青春の日に聴いたパーカーが蘇ってきた。この秋の夕暮。

 秋深しカンヴァスに熟れ柿を塗る  いろは

 あきふかし カンヴァスにうれ がきをぬる

 「Lover Man」では、導入部の美しいピアノの後に、パーカーのあの躊躇するような、口ごもるような息づかい、味わい深いフレーズの連なり。この何とも形容しがたい音楽の流れ。この流れは、この心のひだの奥底にまで到達し、骨の髄までしびれさせてしまうほどに揺曳する。そして、慰めに満ちた、優しさの溢れたピアノの演奏が再び。次の曲「The Gypsy」は、パーカーのAsがつぶやくように始まり、テーマをたっぷりと、ゆったりと展開してゆき、淡々と哀愁の漂う演奏が繰り広げられていく。
 

 何十年ぶりかにこの演奏を聴いた。最初にこのアルバムを聴いた時と同じような感動に包まれた。チャーリー・パーカーの音楽。古稀を迎えるこの人間の心は、若いころと少しも変わってはいなかった。

 チャーリー・パーカーがいい。この秋の夕暮。



1946~47年録音
チャーリー・パーカー(as)
マイルス・デイヴィス、ハワード・マギー(tp)
ワーデル・グレイ(ts)
ドド・マーマローサ、ジミー・バン(p)

チャーリー・パーカー Charlie Parker On Dial