大自然の仕業 -箸先をかむ- 「人生は成りゆきだな」

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養老孟司さんが、かつてテレビに出ていて、人生とは何ですかという質問に、「人生は成り行きだな」という言葉をぽつんと言っていました。(飼っている猫のことを語りながら、猫は「成り行き」そのものを生きているなあ、と養老さんは思っていたのかもしれません。)

古稀(70歳)になってから、わたしは、食事中に箸(はし)の先をかんで、先を折ってしまうことが時々あります。

妻:「信じられない! 箸をかんだことなんか、私なんか一回もないわよ。」

私:「仕方ないだろう。オレが、箸をかんだのではないのだよ。これは、大自然の仕業なんだから。オレに文句を言われても困るんだなあ。文句があるなら、大自然に言ってくれよ。大自然がそう意志したのだから。



吹かれきし野分の蜂にさゝれたり     星野立子
ふかれきし のわきのはちに さされたり *野分…秋から初冬にかけて吹く強い風、台風

(星野の句を、ねじ曲げて使わせていただきます)

「野分が蜂を運んできたの。そして、その蜂に私は刺されてしまったの。野分のせいよ。だけど、そもそも野分はどうして起こったのよ! 野分を引き起こしたのはだれ? ワタシは、だれに文句を言ったらいいの? 」

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「天災」という落語を思い出します。(下にリンクあり)
「天災」では、次のようなやりとりが、学者と嘩っ早い者との間にあります。

)「柳というものは、けっして風に逆らわない。人も柳と同じように柔らかに生きてもらいたいな。」
)「何言ってんだい、人も柳と同じように生きてもらいたいって。人が、あっちにふらふら、こっちにふらふらして、どうするってんだい。」
)「柳というものは、あっちにふらふら、こっちにふらふらするが、根元はしっかり動かない。ここらですがなあ。」
)「風の強い日に、屋根から瓦が落ちてきて、あなたのおつむりに当たる。その時、あなたは痛かろう。その時、あなたはどうなさる。」
)「あなたが広ーい原中に差し掛かった。そこに夕立だ。あなたは全身濡れねずみ。だれを相手取ってけんかなさるな?」

「天災」十代目柳家小三治 (YouTube リンク)
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この不思議がいい! 思議することの不可能な、 この「不思議」な世界がいい。人知を越えた、世界の大きさ、広さ、深さ、豊かさ、おおらかさ。

われわれは、世界を知っていると思っています。つまり、世界を正しく捉えていると思っています。しかし、本当にそうでしょうか。

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