石川県には、同じ時代に世界的な思想家が二人も誕生しました。西田幾多郎と鈴木大拙です。二人は同じ年に生まれ、第四高等中学校の同級生でした。そして、二人の友情と交流は生涯変わらずに続きました。
コロナ禍以前より、かねてから訪れようという願いを持っていた西田幾多郎記念哲学館と鈴木大拙館。この度ついに訪れることができました。西田幾多郎記念哲学館は、石川県かほく市にあり、鈴木大拙館は金沢市にあります。
◆◆ 西田幾多郎記念哲学館 ◆◆ 石川県かほく市
小高い丘を登っていくと建物が見えてきました。
たいへん見晴らしのよい場所にあります。
日本を代表する哲学者・西田幾多郎の思想や人生にふれられる哲学の博物館です。
館の中には、西田幾多郎の言葉を引用したカード(ワードカード)が何枚も並べられていました。このカードは持ち帰り自由です。カードの表には、例えば「真の無は 有の背景を成すものでなければならぬ」などと書かれ、裏には引用箇所の入っているやや長い文章が印刷されています。
西田に関するビデオを見られる部屋もありました。そのビデオの中には、西田の著書の朗読もあり、その中に印象に残った西田の言葉がありました。それは、西田の「全集は全部は読まない」という言葉でした。
わたし的に思うのは、情報が多ければ多いほどいいということではないということ。情報のうちのどの情報を使って、自分の思考をいかに展開・発展させていくかということ。全集に使われてはいけない。全集を使っていく。それには、全集を全部読む必要はないと。そんなことを思い浮かべました。世界を受けとめるのは、自分である。
「自己が自覚する時 世界が自覚する 世界が自覚する時 自己が自覚する」
この建物の設計は世界的に有名な建築家・安藤忠雄氏によるもので、「考えること」をテーマに作られ、建物は迷路のように複雑になっているそうです。
「あたごやまいる日の如くあかあかと もやし尽くさんのこれる命 寸心」
(愛宕山入る日の如くあかあかと 燃やし尽くさんのこれる命)
「思索の道」が続いています。
展望ラウンジからの風景
西田幾多郎記念哲学館で入場券を購入した折、この後に鈴木大拙館も訪れる予定であることを言いました。すると、この入場券を持って行けば、鈴木大拙館には入場券を購入せずに入ることができますよと言われました。
◆ 鈴木大拙館(金沢市)については下のリンクをご覧ください