ただひとりにも波は来る 一期に一会のリフレイン


ただひとりにも波は来る花ゑんど     友岡子郷

えんどうの花が 花ひらくおだやかな春 海の音が聞こえてくる

波はきらきらと寄せては返しくりかえす ただひとり わたしのために

そのひとりがだれであるかに関わりなく 差別なく

ただひとり わたしのために寄せては返し くりかえす

その波のリフレイン

ひく波の跡美しや桜貝      松本たかし

ひく波の跡に 一面の砂が広がる

そこにひょっこり顔を出す「桜貝」


こんな句を繰り返し詠みながら 時を忘れてしまうことがある

一期に一会のリフレインという永遠の中に



 波の句を詠んでいたら、ふと鈴木大拙の次のような言葉を思い出しました。

「海辺で拾った貝殻に耳を近づけてみると海の音が聞こえてきたという西洋の詩人の詩を読んだことがある。詩人はその時、天地始まって以来の海の音聞いたという。同じように、わしは、春になり、この辺りの若葉が次第に色濃く青々と茂ってくるのを観ていると、そのひと葉ひと葉に、天地創造以来の色彩が漂っているように見える。」と。

大拙は、晩年 「」という言葉を好み親しんでいました。