*梅の花咲く -ときがわ風景・俳句・短歌-
菜の花の風まぶしくて畦蛙 森澄雄
なのはなの かぜまぶしくて あぜかわず
こんな句を詠み、近づいている春の景色を想像しながら歩いています。何か面白そうなものを見つけたら、歩みを止めてゆっくり眺めます。先を急ぐ旅ではありません、気ままなひとり散歩ですから。
今日は、日当たりの良い坂道を登っていくと、梅の木にもう花が咲いているのを見つけました。冬枯れの斜面に白梅が輝いて見えました。
この地域では梅の木をよく見かけます。近くの越生町(おごせまち)は梅の里で、「越生梅林」*があります。
*「越生梅林」についてはこのページの最後をご覧ください。
ここ「ときがわ」は、正月から快晴の日が続いています。朝晩は冷え込むことが多いのですが、日中は風がなければ、ぽかぽかとして温かく心地よく過ごせます。
このような天候のよい日の散策は、気分が晴れやかになります。散歩の際に行っているアンソロジーの詠みも、声高らかに気持ちよく行えます。田舎道ですから、ほとんど人と出会うこともありません。アンソロジーに最近書き込んだ詩歌を詠み上げながら歩きます。
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春になりましたら、越生の梅林の梅の花を愛でたり、ときがわの慈光寺、霊山院などを訪れて、この地域の散策を楽しまれるのも、都会の方には田舎の風景と出合う楽しいひと時となるのではないでしょうか。
ひと足早く春の訪れを感ずる今日この頃の「ときがわ風景」でした。
*梅の花咲く -ときがわ風景・俳句・短歌-
*越生梅林
越生梅林は、水戸偕楽園・熱海梅園とともに「関東三大梅林」の1つとされている。園内は約2ヘクタールの広さ。樹齢約650年を超える古木や、白加賀・紅梅・越生野梅など約1,000本の梅の木。梅林周辺も含め、約20,000本もの梅が美しく咲き誇る。
越生の梅は1350年頃、九州の大宰府から現在の梅園神社に分祀した際、菅原道真公※にちなんで梅を植えたのが起源であると伝えられている。明治時代になると、多くの文人墨客を魅了するころとなり、明治34年には、歌人で国文学者の佐佐木信綱が来遊し、次の歌を残している。
入間川高麗川こえて都より 来しかひありき梅園のさと 佐佐木信綱
いるまがわ こまがわこえて みやこより きしかいありき うめぞののさと
※菅原道真 : 菅原道真は、九州にある太宰府に左遷される折、庭の梅に
東風吹かばにほひおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ
こちふかば においおこせよ うめのはな あるじなしとて はるなわすれそ
という歌を残したそうです。後に、この梅は主人を慕って太宰府まで飛んで行ったといいます。そんな菅原道真と縁のある「越生梅林」だそうです。
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